不動産売却の際、売主や買主にとって気になるワードのなかで、「事故物件」があります。
この事故物件の要因となる心理的瑕疵とは何か、それを告知しないとどうなるかを今回はご紹介します。
不動産売却に影響のある心理的瑕疵とは
不動産売却の際、売主は瑕疵を買主に告知する義務があります。
その瑕疵には4つの種類があります。
●物理的瑕疵…不動産に存在する、目に見える欠陥
●法律的瑕疵…不動産が、建築基準法や都市計画法などに触れているという欠陥
●環境的瑕疵…周辺環境の欠陥(反社会組織の存在、騒音/異臭/振動など)
●心理的瑕疵…過去の出来事によって住み心地に影響をあたえる欠陥
心理的瑕疵とは、過去に自殺、殺人、忌まわしい事件の現場となり、不動産自体にはキズはないが、心理的に住み心地がよくないという欠陥です。
不動産の周辺で今なお存在する問題は環境的瑕疵ですが、心理的瑕疵は不動産自体に過去に起きた問題が対象です。
不動産売却時における心理的瑕疵の告知義務
前述したように、不動産売却の際、売主には瑕疵の告知義務があり、心理的瑕疵も対象です。
では、心理的瑕疵は永遠に告知しなければならないのでしょうか。
実は瑕疵の告知義務の期間は明確に定められていません。
ただし、下記の考え方があります。
過去の事象発生からの経過年数
たとえば過去に自殺が発生していれば、賃貸の場合は3年、売買の場合は6~7年経過するまでは告知義務は必要とする考え。
入居者の変更や転売がきっかけ
賃貸物件で自殺が発生した場合その後の新たな入居者が退去して以降、売買物件での場合はその後の買主がさらに転売するときに、告知義務はなくなるという考え。
一定期間経過すれば心理的瑕疵の告知義務はなくなりますが、過去の事象の程度によってはその期間の判断が異なってきます。
上記はあくまでも目安であり、のちに発覚してトラブルになる場合を考えると、わかっている心理的瑕疵はすべて隠さず告知したほうがいいでしょう。
心理的瑕疵を隠した場合はどうなるのでしょうか。
売主が、知っていた心理的瑕疵を隠した場合、買主から損害賠償を求められる可能性が高くなります。
これは、「契約不適合責任」を売主が負うことになるためです。
契約に明記されていない心理的瑕疵が発覚し、売主も知らなかったことが証明されない限り、契約違反の物件を売ったとして、売主が責任を負います。
売主の知らなかった心理的瑕疵を問われ、裁判になった場合は、売主は知らなかったことを証明できなければいけません。
このようなことからも、心理的瑕疵の告知義務に時効はないと考え、知っていることはすべて伝えましょう。